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旅、映画、食べ物、哲学?

台北2016

The End 〜旅の終わり〜

最後に少しだけ、最終日の話をしよう。後日談のようなものだ。 翌日のフライトは少しだけ遅い便だった。わたしは早めにチェックアウトしたが、ザック一つの身軽さだったし、どこかに行こうかとも思った。だが、それはやめたのだ。今回学んだ「旅することは動…

台風の日〜馬勒卡の巻、あるいは本当の旅〜

幸福は災難の内にあることがある。むしろ災難が起こるからこそ、幸福なのかもしれない。 台風16号「馬勒卡」がフィリピン沖に発生したのは、わたしが台北について間もなくのことだった。台風14号の影響がどれほどか、それを不安に思いながら始まった旅だった…

旅することは動き続けることではない PART5

「旅することは動き続けることではない」 台湾は、「親日国」で知られる。どういう風の吹き回しかはわからないが、台湾の方々は、東アジアの海に浮かぶ優柔不断で調子に乗りやすいしょうもないあのJで始まる島国のことを、それなりに認めてくれているらしい…

旅することは動き続けることではない PART4

「旅はDéjà vu:新しいものと古いもののあいだ」 ほんの思いつきだった。ただただ、名前が面白かっただけだ。ただそれだけの理由で、わたしは台北MRTに乗って、「三重」に行った。 台北市の中心部は、主に「淡水河」右岸にある。三重があるのはそこから離れ…

旅することは動き続けることではない PART3

「フィールドワーク」 行天宮というのは、「関帝廟」の一種である。といわれても、「関帝廟」ってなんだろう? 関帝廟というのは、三国志で有名な関羽を武功と商売の神として祀る神社だ。関東に住む日本人にとっては、横浜中華街にある「関帝廟」が有名だろ…

旅することは動き続けることではない PART2

「タイペイ・ダック、あるいは変わらぬもの」 台北駅へと引き返したわたしは、一つの疑念に心惑わされていた。それは、両替ができるかもしれないただ一つの希望の光である「三越」も、中秋節で休みなのではないか、ということだ。三越といえば、日系企業。さ…

旅することは動き続けることではない PART1

「It is hard for me to exchange money」 嵐の前の静けさは、台湾の灼熱の太陽の前では、嵐の前の激しさに変わる。その話はこの前にもしたはずだ。だが、それをまた経験することになるとは思ってもいなかった。 台北滞在五日目 台北滞在四日目の夜は、前述…

Fifteenth Night PART4

「Fifteenth Night」 一畳一間のホテルで休息を取り、外に出てみると、もう真っ暗になっていた。台北の夜は6時に始まる。 この日の夜はジャズバーへ行こうと決めていたが、ジャズの演奏は9時半からで、それまでの間は、昼に行った「臨江街夜市」の真の姿(夜…

Fifteenth Night PART3

「昼の夜市とジャズバークエスト」 国父記念館から、昼の臨江街夜市へは、大した道のりではない。曇りだったから日差しも大した事はないし、かなり広い大通りを伝ってゆけば、いつの間にかたどり着く。途中で派手でゴテゴテとした中国式神社があり、そこのす…

Fifteenth Night PART2

「PATER PATRIAE」 昼間の夜市を離れて、わたしはテキトーに歩き始めた。 今思うと、あの時はどこか、中国語を使うことに疲れていたように思う。市場のエネルギーはわたしのエネルギーをチャージしてくれたが、結局のところ人と話してみようなどということは…

Fifteenth Night PART1

「NIGHT in DAY」 朝起きてホテルの窓の外を眺めたら、青空だったものだから、てっきりこれが台風一過の晴れ模様だと思っていた。だが、朝食を食べ、ホテルの外へ出るとそうでもないとわかったのだ。空は雲で覆われ、時折雨も降る。わたしはとりあえずビニー…

台風の日〜莫蘭蒂の巻〜

フィリピン沖で発生した「莫蘭蒂」こと台風14号は、その勢力を拡大しながら台湾へと迫っていた。初めは台湾に上陸する予定だったが、神のご加護か、単なる偶然か、進路を南よりに切り替えて、台湾の南側をかすめて行くルートをとることになっていた。 だが…

嵐の前の激しさ PART4

「Tansui、あるいは暗雲」 台北郊外にあるちょっとした保養地「淡水(タンスュイ)」は、台北中心地から40分ほどで行ける距離にある。日本でいうなら、どうだろう、鎌倉といったところだろうか。だが、アクセスの良さは圧倒的に違う。というのも、「台北101…

嵐の前の激しさ PART3

「嵐の前の激しさ」 再びガタガタと揺れるバスに乗り、わたしは「士林(チーリン)」駅へと引き返した。昼食の時間だ。わたしは灼熱地獄の中、食べ物屋を探す。そうだ、士林観光夜市まで行ってみよう、と思った。せっかく士林にいるのだ。夜市と言ってもきっ…

嵐の前の激しさ PART2

「文化の宮殿」 士林(チーリン)は、市場で有名らしい。人呼んで士林観光夜市。だが、非常にややこしいことに、士林観光夜市の最寄り駅は「士林」駅ではなく、先ほどまでわたしがいた「劍潭(ジエンタン)」駅らしい。 嵐の前の静けさで晴れ上がっていたこ…

嵐の前の激しさ PART1

「はじまり」 台北滞在二日目 嵐の前の静けさ、という言葉がある。それは、暴風雨が来る前に穏やかな気候になる、という現象からくる比喩だ。暴風がくるからこそ、暖かく、穏やかな天候になる。それはかえって不気味なことで、まるで神が未来を私たち人間に…

さようなら、短い一週間

更新しよう、更新しようと思いつつ、書きあぐねている間に滞在期間の一週間が過ぎてしまった。そういうわけで私は今、再び、台北の松山機場にいる。出発まであと一時間ほどあるので、満を持して書こうと思う。 一週間に及ぶ一人旅は、実を言えば私にとって初…

AVANTI!〜台湾1日目〜

志はあるが、全てを支配し尽くすことはできない。だから小さな島を分捕って、そこに理想郷を作る。そんなストーリーはわたしの憧れだった。だから、榎本武揚がその地に共和国を作ろうとした北海道、そして鄭成功や蒋介石が夢を託した台湾は憧れの土地でもあ…