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ある大学生の日常をエッセイ調にかっこつけて書く。

日常

11都市目:イルン(1)〜異邦人、あるいは旅の終わり〜

マドリードからトレドへ向かうバスとは、明らかに違う風景が外に広がっている。周りは緑、緑、緑。山も緑。ところどころにある建物は、白い漆喰で塗られ、屋根はオレンジ色だ。まさにバスク地方の道だ。日本人にとっては、マドリード付近の荒地が広がる風景…

10都市目:ビルボ(3)〜熱狂の街〜

ブラスバンドの音が聞こえてくる方へと歩いて行くと、そこには人だかりがあった。真ん中では四人はどのブラスバンドが楽器を弾き、1人の人が大きな黒い旗を振っている。最初は何事かと思ったが、そういえば祭りである。いわば、前夜祭といったところだろう。…

10都市目:ビルボ(2)〜はしごの夜〜

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 本来なら、旅の第1部(8/10〜8/20)を書き終えて、新年の話でもしようかと思ったが、まだ終わっていないので、ビルバオの続きを話そうと思う。 さて、やっとの思いでホテルを見つけたわた…

9都市目:トレド(2)〜逢いに行けるアンダルス〜

ボカディージョを食った広場の目の前にある教会は異様にでかかった。巨大な尖塔は天に届かんばかりで、そこら中に彫られている聖人の像がこちらを見下ろしているが、像一人一人の大きさが規格外である。トレド大聖堂というそうだ。そのままである。 教会の横…

8都市目:マドリード(3)〜そうだ、トレド行こう〜

朝起きて、顔を洗う。窓の外では話し声が聞こえる。マドリードの朝か。窓の外は中庭で、住人たちが洗濯物を干したりする。それじゃあわたしも朝食を食べがてら洗濯物を始末してしまおう。 鍵をもらい、オスタルプラダを出たのは確か8:00くらいである。紹介さ…

7都市目:バルセロナ(5)〜ガウディとカタルーニャ広場、生命の街〜

ガウディは好きではなかった。あの、グエル公園にあるような、うねうねと曲がった土色の壁に斑点、そこに謎のトカゲ、というあの感じが苦手であった。だから、建築家ガウディの生まれた街バルセロナに行こうと決めた時も彼の作品をめぐるということはあまり…

7都市目:バルセロナ(3)〜マーレ・ノストゥルム〜

ランブラス通りには相変わらず気持ちの良い風が吹き抜けている。緑が輝き、平和そのものの雰囲気の中、時折スリがウロウロしていた。台の上に立ったピエロが風船で犬を作ったり、彫像に扮した男が道行く人にぎこちなく帽子を取って見せたりしている。楽しい…

街がいきづく〜一度きりの出会いと懐かしい香り:赤坂−溜池−六本木〜

今日も例によって昼の時間を潰すべく赤坂へと向かった。日差しは強いが、サイゴンほどではない。湿気はあるがバンコクほどではない。私には今日赤坂へと向かう確固たる理由があった。それは、「街が生きている」と題した記事の中でも触れた、赤坂に出没する…

ヴェトナムの方がやってきた

6月10日と11日は、代々木がヴェトナムになる日だった。5月ごろから代々木公園では、カンボジア、タイ、ラオスと東南アジアの国々を紹介するフェスが開かれ、6月10日と11日はヴェトナムフェスティバルが開催されていたのだ。 去年、一昨年と連続してヴェトナ…

思い出がいっぱい

「懐かしいって感覚って何なのか、気になってるんです」と、ある人が言った。この前の木曜日のことである。あの日、僕を含めた十人の年齢も性別も違う仲間で「懐かしいってどういうこと?」についてみんなで考えた。 その人はいう。この季節になると、空気に…

Money, Money, Money

数日前のことだが、NHKの「美の壺」という番組を見ていた。 この番組は、色々な芸術品、あるいは民芸とでも言えるような実生活に使われているようなものに焦点を当て、木村多江のしっとりとしたナレーションと、時々草刈正雄のコミカルな演技を交えつつ、そ…

過去の感じ方

イタリアの首都ローマの街を歩いていた時のことだ。 独特の赤みを帯びたベージュ色、とでも言えるような建物が立ち並んでいる道を進み、わたしは古代ローマの神殿「パンテオン」を目指していた。だが一向にパンテオンは現れず、途方に暮れていた。季節は12月…

the Big Slump

ここ数日、いや一ヶ月以上になるが、ここに投稿していなかった。この一ヶ月何もなかったわけではない。それどころか、いろいろなことがあった。まず先月の18日、わたしは無事二十歳になった。そしてその少し前見た「ハリーとトント」という映画はなかなか良…

常連もどき

今日、TOEFLを大学で受け、その帰りにトルコ料理屋に寄った。 そのトルコ料理屋は、わたしがエスニック好きになるきっかけを与えてくれたところだった。思えば去年の春、わたしは独り、あの非常に入りづらい、物理的な意味での「狭き門」を押し開け、エスニ…

手ぶら族の夏

わたしは基本的に手ぶらだ。もちろん、大学に行くときはバッグを持っているが、それ以外では手ぶらだ。かつてはそんなことが普通のことだと思っていた。少々男女差別的な発言かもしれないが、男は手ぶらなものだ、などと思っていたのだ。だが、高校から大学…

アンラッキーデイ

誰にだってツイてない日の一つや二つある。わたしにとってのそれはまさに今日だった、それだけのことだ。 月曜日は五百円で名画をみる。それが私の一週間のスタートだ。家を9時に出て、某シネコンへと向かう。今日もそうだった。まず異変を感じたのは入り口…

それは解放だったのか

携帯電話を忘れた。 昨日のことだ。 朝寝坊をしていたから、急いで朝食を食べ、急いで家を出た。授業が始まるのは九時一五分。急がねばならなかった。家を出てしばらくして、わたしは自分が携帯電話を忘れたことに気がついた。だが戻っている時間などなかっ…