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旅、映画、食べ物、哲学?

語学

本質と音楽〜哲学所感3〜

まずあらかじめ断っていくが、今回は少々突飛なことを言おうと思う。日常生活で普通とされていることを裏切ろうとしているのである。だがそれは必要な裏切りだ。そして素晴らしい裏切りだと私は信じている。 その前に、ちょっと話を振り返っておこう。第一回…

プロメテウスの理性〜哲学所感2〜

人間に特徴的なものは何か。これはいろいろな人が問うてきた問いである。 かつてプラトンが、「人間は、毛のない二足歩行の動物である」と言ったらしいが、それに対し、ディオゲネスという男が毛をむしった鶏を持ってきて、「おいみんな、プラトン先生はこれ…

Синьо Небе〜ソフィア ②〜

NDKこと、国立文化宮殿は、繁華街になっているヴィトーシャ通りをまっすぐ行ったところにある。観光地の割には人影がまばらなこの通りは、今まで歩いてきたソフィアの地区と比べれば、穏やかな空気が流れており、いい感じである。レストランが軒を連ねる道の…

殺伐とした叡智の町〜ソフィア①〜

バスを降りた瞬間、違う世界にいると悟った。まず空気が違う。突き刺すように朝の空気は寒い。ギリシアの暖かい気候とは違う。それに、バスターミナルのカフェテリアのおばちゃんは無愛想で、英語が通じない。そんなことは当たり前である。ここは英語圏じゃ…

チケットとスヴラキと優しさ〜パトラ〜

パトラの港の使い勝手はバーリのそれと比べて格段に良かった。船から降りて少し歩いたところにシャトルバス乗り場があり、そのバスに乗れば、すぐに中心部まで運んでくれる。ただ、もしかすると、気づかなかっただけでバーリにもあったのかもしれない。 パト…

まだ死ねない〜ナポリ〜

サンタンジェロ城を一人で見た後、私は三人の友人とナポリへと向かった。 イタリアはこれで3度目になるが、いわゆる南イタリアには一度も行ったことがなかった。ナポリ行きを決めたのはそれが理由である。一人でも行くつもりだったが、なんやかんやで四人に…

カレーなる道

今年から大学でヒンディー語を始めた。理由は割とテキトーで、今までやったことがなかったのと、インドを背負う大言語であるのと、文字の関係で自力での学習が難しそうだと判断したからだった。しかしこれが思いの外楽しく、そこから芋づる式にインドにはま…

17都市目:ロンドン(4)〜Let it be〜

ヨーロッパの強烈な日差しを浴びながら、国会議事堂を横目にウェストミンスター橋を渡った。渡りきるのは初めてだ。この先にはサウスバンクと呼ばれる地区があり、有名なシェイクスピアのグローブ座もある。ロンドンの新名所で、私は観たことがなかったシェ…

16都市目:パリ(1)〜再会〜

この度の実質的最後の滞在地パリは、再会の街であった。そもそもパリという街自体、再会の相手だった。今まで巡ってきた街は、リヨンを除けばどこも初めての場所だった。しかしパリは4度目になる。そしてそんな街でわたしは5度にわたる再会の場に立ち会った…

15都市目:レンヌ(2)〜黄昏の暑く温かい街〜

車通りの多い駅前の通りを歩き、途中で右に曲がると、明らかに新市街だなという雰囲気の通りに出た。一応、ホテルのおじさんナビに従って歩いている。その道には、おじさんが言ったように中華料理屋などもあり、なんとなく、移民街を形成しているようだった…

12都市目:ボルドー〜ボルドーの人々〜

アンダイエの街には数時間いたが、外には出なかった。理由はない。駅の中で次の街ボルドーでのホームステイ先の人とメールをしたり、本を読んだりしていた。ふと目をやると、赤い看板のキオスク「Relay」や、価格帯が高めの自販機「Selecta」が置かれている…

11都市目:イルン(1)〜異邦人、あるいは旅の終わり〜

マドリードからトレドへ向かうバスとは、明らかに違う風景が外に広がっている。周りは緑、緑、緑。山も緑。ところどころにある建物は、白い漆喰で塗られ、屋根はオレンジ色だ。まさにバスク地方の道だ。日本人にとっては、マドリード付近の荒地が広がる風景…

10都市目:ビルボ(3)〜熱狂の街〜

ブラスバンドの音が聞こえてくる方へと歩いて行くと、そこには人だかりがあった。真ん中では四人はどのブラスバンドが楽器を弾き、1人の人が大きな黒い旗を振っている。最初は何事かと思ったが、そういえば祭りである。いわば、前夜祭といったところだろう。…

10都市目:ビルボ(2)〜はしごの夜〜

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 本来なら、旅の第1部(8/10〜8/20)を書き終えて、新年の話でもしようかと思ったが、まだ終わっていないので、ビルバオの続きを話そうと思う。 さて、やっとの思いでホテルを見つけたわた…

10都市目:ビルボ(1)〜危機一髪〜

バスはひたすら、一面に広がる荒野の中を走っていた。太陽が照りつけ、地面に生えるのは短い草ばかり。遠くには剥き出しの山の稜線が見えていて、時々、道を見下ろすように、丘には牛の形をかたどった看板が置かれていた。テレビで見たことのあるスペインの…

8都市目:マドリード(1)〜イベリアのヘソのでっけえ通り〜

ついに、バルセロナを離れる。列車に乗り込んでみると、AVEという列車がなんとも先端的な列車であるということがひしひしと感じられてくる。2人掛の椅子がずらっと並び、天井からは幾つかモニターが置かれている。今までの列車にはこのようなモニターはなか…

7都市目:バルセロナ(1)〜ピレネーを越えてゆけ〜

トゥールーズのやばいホテルを出たのは七時十五分くらいだったろうか。オーナーは部屋で寝ていたが、声をかけて鍵を返すと笑顔で、「Au revoir!(さようなら)」と言ってくれた。もしかするとそこまで悪いホテルはじゃあないのかもしれない。 駅の方向へと運…

1都市目:ストラスブール(1)〜戦争と平和の狭間の街〜

パリのシャルルドゴール空港についた次の日、私はフランス版の新幹線とも言えるTGVに乗って東の果てのストラスブールを目指した。TGVは値が張るが、私はユーレイルパスという青春18切符のようなものを持っていたので、予約料だけを払えばよかった。パリから…

語学、我が愛

改めて言うのもなんだが、私は語学が好きである。 正直、語学がどうして好きなのかは自分でもよくわからない。なぜなら、あんなもの好きなところで、そこまで使えるわけでもないからだ。 例えば、海外に行ったとしよう。場所は、そう、オーストリアのザルツ…

Money, Money, Money

数日前のことだが、NHKの「美の壺」という番組を見ていた。 この番組は、色々な芸術品、あるいは民芸とでも言えるような実生活に使われているようなものに焦点を当て、木村多江のしっとりとしたナレーションと、時々草刈正雄のコミカルな演技を交えつつ、そ…

台風の日〜馬勒卡の巻、あるいは本当の旅〜

幸福は災難の内にあることがある。むしろ災難が起こるからこそ、幸福なのかもしれない。 台風16号「馬勒卡」がフィリピン沖に発生したのは、わたしが台北について間もなくのことだった。台風14号の影響がどれほどか、それを不安に思いながら始まった旅だった…

Fifteenth Night PART4

「Fifteenth Night」 一畳一間のホテルで休息を取り、外に出てみると、もう真っ暗になっていた。台北の夜は6時に始まる。 この日の夜はジャズバーへ行こうと決めていたが、ジャズの演奏は9時半からで、それまでの間は、昼に行った「臨江街夜市」の真の姿(夜…

My Fair Lady

満を持して、観た。ついに、観た。 前にも書いたが、「ヘイル・シーザー!」を見た日は、本当は「マイフェアレディ」を見る予定だった。しかし、恐るべしオードリー・ヘップバーン。完売していて見ること能わず、だった。 それを今日、ついに見たということ…

憧れのマロク

一週間ほど更新していなかった。別に理由なんて言うものはない。太陽がまぶしかったからだ。要するに、さぼっていたのである。 わたしは大学で今、アラビア語の授業を受けている。イスラームの思想などを知りたい、と言えば聞こえがいいが、実際の理由は中東…

トダー

わたしには持論がある。それは、旅先で「ありがとう」と「おいしい」だけ覚えていれば、旅の楽しさが二倍になるという持論だ。この春にわたしはヴェトナムに言ったのだが、その時も、はいる店はいる店で「ンゴン(うまい)!」と伝えると、決まって「ンゴン…