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Play Back〜ハードボイルド大学生活〜

ある大学生の日常をハードボイルドなエッセイ調に書く。

トダー

わたしには持論がある。それは、旅先で「ありがとう」と「おいしい」だけ覚えていれば、旅の楽しさが二倍になるという持論だ。この春にわたしはヴェトナムに言ったのだが、その時も、はいる店はいる店で「ンゴン(うまい)!」と伝えると、決まって「ンゴン(うまいか)!」とうれしそうにみんな微笑むのだ。その微笑みを見ているだけで気持ちがよくなるし、小さな国際交流ができるのである。

今日、わたしは大学の裏にある屋台へ昼を食べに出かけた。その場所にはワゴンが何台か止まっていて、いろいろな料理を売っている。わたしの目を引いたのは、「本格ユダヤ&中東料理」だった。わたしはエスニック、特にトルコ料理が好きで、いろいろなところに食べに行くので、トルコからは位置的にも近いイスラエルの料理と来たら食べてみずにはいられない。

「ギュロス風」の鶏肉とファラフェルという豆団子揚げの弁当を頼んだ。ちなみに、ギュロスがなにかはわからない。50円引きだったので、650円。わたしは弁当を受け取る時に思い切って、なぜか覚えていたヘブライ語ユダヤ人の言葉)を言ってみた。

「トダー(ありがとう)」

屋台のお兄さんは一瞬耳を疑ったようだった。それはそうだ。突然片言のヘブライ語を客が話し始めたのだから。だが彼はすぐに、

「トダー、トダー(こちらこそありがとうございます!)」と返してくれた。

その弁当もうまかった。今度は「おいしい」を覚えて行ってみようと思う。