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Play Back〜ハードボイルド大学生活〜

ある大学生の日常をハードボイルドなエッセイ調に書く。

夢と中野

昨日、中野に劇を見に行った。

劇を劇場まで見に行く、というのはおもえば1年ぶりのことである。

そう、あれは1年前。入試を終えて、わたしは大学に入ることが決定していた。だからわたしは暇な時間を謳歌しようと考えた。その一つが、あの時に見た劇だった。非常にくだらない劇である。英国のコント集団「モンティー・パイソン」原作のミュージカルをユースケサンタマリア、マギー(俳優の方)、ムロツヨシ、という日本の名だたるカタカナ俳優の出演で日本風にアレンジした「モンティー・パイソンのスパマロット」である。ミュージカルなのに、歌を歌うことにいちいち突っ込んだり、さすが、というような内容だった。「爆笑した」以上に何かを言うのは野暮なミュージカルである。

さて、昨日劇にいった話をしようとしていた。

この劇を観るにあたって、二つの初体験があった。まずは、小劇場だったこと。5年ほど前にロンドンで「オペラ座の怪人」を見たときも、あまり大きい舞台ではなかったが(「モンティー・パイソン」は赤坂ACTシアターだから、馬鹿でかい)、今回はそれ以上に小さかった。大学の中規模の階段教室、あるいは映画館の小さめの部屋くらいの大きさで、舞台の大きさも小さかった。そのこじんまりとした感じは、心地がよかった。

もう一つはなんと(!)、出演者に友人がいたことである。

その友人に、女優を目指していると打ち明けられた時は、なかなか驚いた。だって、周りにそういう人がわんさかいるわけではないからだ。そういう人は、現実に周りにいるというよりも、テレビの中や、銀幕の中の住人のような気がしてしまうのは、普通のことだろう(だが、冷静に考えると、目指す人がいなければ誰も俳優になっていないのだから、そういう人が周りにいるという状況もさほど珍しくない)。そして凄いと思ったのは、女優を目指している、と口で言っているだけではなく、なにやら教室に所属して、毎週通っているということである。なかなかできることじゃない。

その友人が、ついに舞台デヴューである。いやはや、とんでもない友人を持っちまった。

舞台はとても面白かった。ギャグ満載、そして最後にはほっこり。ギャグシーンは爆笑しっぱなしだった。我らが「女優の卵」も一番出番が少ないとはいえ、存在感があった(知り合いバイアスがかかっていないと言えば嘘になるけれど)。その存在感の正体は、きっと彼女そのものが舞台にいたことだろう。思わず彼女を知る人はニヤリとしてしまうほどに、わたしたちの知っている彼女が舞台にいた。それでいて違和感はなかった。きっと自分を消すタイプの俳優はすばらしいが、自分が出るタイプの俳優(この例としては、香川照之唐沢寿明阿部寛藤原竜也あるいはムロツヨシがいる)の方が大成する。観客の心に残る俳優になる。なぜなら、演技をするとなると、普通はぎこちなくなって、自然と自分を出すなんてできないのだから。だからそれは悪いことではまったくなく、とてもいいことなのである。そう、思っている。

いやはや、とんでもない友人を持っちまった。

わたしもがんばらないといけない。わたしはこれでも、ライターになりたいと思っている。こんな駄文しか書けないが、夢はある。それはきっと、若人の特権である。

精進しよう。