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旅、映画、食べ物、哲学?

Dreadful Flight

   一ヶ月間西ヨーロッパを旅する、という計画が生まれた経緯は突拍子も無いようなものだった。
    わたしは学科の友人とアンリ・ベルクソンという知っている人は名前だけ知っている、知らない人は名前すら知らないという少々ニッチなフランスの哲学者の本を読む会をしている。その友人たちと話している時に、「ベルクソンはパリを拠点にしてたから、その「聖地巡礼」をしようじゃないか」という話になったのだ。これをきっかけに、メンバーでアパルトマンを借りて一週間パリに住むという計画がスタートした。だがわたしは一週間行くのなら、その少し前にヨーロッパを旅したいと思った。そういうわけで、十日間のひとり旅、五日間のフランス語学留学、そして四日間の西部フランスひとり旅+1日のホームステイ、それから一週間の「読書会合宿」という日程で動くことになった。そして今、わたしは最初のひとり旅パートの半分を過ぎ、スペインの首都マドリードにいる。

 

   今回の旅には、値段の関係と、ちょっとした好奇心から、ロシア経由で向かった。
わたしは旅するのは好きだが、飛行機は割と苦手で、途中で気分が悪くなるのが常である。10時間のフライトはまだ精神的に余裕があったが身体的な負担はあったようでモスクワに到着しても、お腹の調子が芳しくない。元気を取り戻すために早速ボルシチを食べてみたり、オレンジジュースを飲んでみたりしたが、どうも体が戻らない。ジュースは不思議なまでにうまかったが、体はけだるく、重かった。

   その流れでの四時間のパリへのフライトはなかなか辛いものがあり、機内では眠ってごまかすしかなかったが、天候が悪いのか(オーストリアにいる友人がすごい雨だったと行っていたのでおそらく天候が悪いのだろう)、ものすごく揺れる。このまま生き絶えるのではないか、などとありえないことを考えながらわたしは寝たりおきたりを繰り返して4時間をやり過ごした。
   そんなこんなでパリのシャルルドゴール空港に到着し、空港近くのホテルに泊まった。もちろん、体の調子は良くない。翌日はパリ市内にも入らず、パリを素通りして、ドイツ国境の町ストラスブールに入る予定だ。はじめは、カナダで仲良くなったフランス人のRくんとパリで会う予定だったのだが、彼のカナダへのフライトが早まり、ちょうど入れ違いになるということになって計画は頓挫してしまった。まあ今パリを見なくても、どうせ三週間後には散々見ることになるんだ、と悔いは全くなかった。それにRくんともついこの間東京であっている。

 

   七月の終わりに、Rくんは友人二人とともに東京にやってきた。「お前はいつパリに来るんだ?」と冗談めかしていう彼に、「この八月に行くよ」というと、その場にいたカナダで一緒だった日本人たちもふくめて驚いていたのを覚えている。Rくんはモントリオールで経済を学ぶらしく、今頃はモントリオールだろう。ちなみにRくんと一緒に日本にやってきた二人とは、わたしがパリに入った時に会うことにしている。

 

   到着の翌日、わたしは12時45分の列車でストラスブールへと向かった。